REPORT
活動報告
第221回国会 参議院 法務委員会 第19号 令和8年7月9日
○佐々木雅文君 公明党の佐々木雅文でございます。
多くの先生方がこの再審に関する刑事訴訟法の改正で御指摘をされていらっしゃいますとおり、今回の改正におきましては、請求人への直接の証拠の開示、また証拠一覧表の作成、目的外使用禁止の部分など、証拠へのアクセスがどこまで可能となるかというところが一番の問題だと認識をしております。他方で、新設される制度もございまして、そこの点も不明瞭な部分があると思っておりますので、その点も含めまして改めてお伺いをしていきたいというふうに思います。
まず、スクリーニングに関する調査手続規定についてであります。予定をされている新四百四十四条の二第一項におきましては、裁判所は遅滞なく調査するとあるわけなんですけれども、この遅滞なくというのはどの程度の期間を想定をしているのか。また、調査におきましては基礎的な資料を検討するというふうな説明をされていますが、具体的にどのような資料を念頭に置かれているのか、この点、所見を伺います。
○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。
改正後の刑事訴訟法四百四十四条の二第一項におきましては、再審の請求を受けた裁判所は、遅滞なく、その請求について調査しなければならないこととしているところでございます。この同項の遅滞なくとは、具体的な期間を念頭に置いたものではなく、正当な理由に基づかない遅滞を許さないという趣旨でございます。
また、調査手続における調査とは、再審請求理由についての審理を経た上で、終局決定をすべき事件とそれ以外の事件とを早期にかつ的確に選別するために必要な基礎的な資料の収集や収集した資料の確認、検討を行うことを意味しているところでございまして、その基礎的な資料といたしましては、再審請求書及びこれに添付された証拠書類又は証拠物、原判決の裁判書の謄本のほか原判決に係る確定記録などが考えられるところでございます。
○佐々木雅文君 そして、新四百四十四条の二第二項二号では審判開始の決定に至る理由について規定があるわけですけれども、再審請求に理由があることが明らかであればそもそも再審開始決定しますというふうになっています。再審請求の理由としては、現行法で考えますと、四百三十五条のうち特に第六号を根拠とすることが多いかと思います。新証拠が出る前の段階で、基礎的資料を検討しただけで請求に理由があることが明らかと判断されるのはどういう場合を見込んでいるのかということと、他方で、同項の一号ハでは、明らかに四百三十五条各号に該当しないと認めるときには再審請求を棄却することとなっていて、そしてそれ以外の場合に同項三号で審判開始の決定がされるという規定になっています。
何をもって請求の理由があるかないかを明らかとするのか、その考慮要素がそもそも不明であれば判断のしようがないと思います。こうした手続過程がそもそも手続保障の充実化や審理の円滑、迅速化に資するものとなるのか、かえって不明瞭になるのではないか、かえって遅滞するのではないかという懸念を持ちます。この点についての所見を伺います。
○政府参考人(佐藤淳君) 本法律案におきましては、いわゆるスクリーニングといたしまして、再審請求審における調査手続を設けて、再審請求理由についての審理を経た上で、終局決定をすべき事件とそれ以外の事件を選別することとしているところでございます。
その上で、裁判所は、調査の結果、再審請求が理由のあるものであることが明らかであると認める場合には再審開始決定をしなければならないとしているところでございますが、これに該当する場合といたしましては、例えば、有罪判決が確定した事件について、真犯人を名のる者が現れ、捜査の結果、その者が真犯人であり、有罪の言渡しを受けた者は犯人でなかったことが判明したため、検察官が関係証拠を提出して再審請求をした場合などが考えられるところでございます。
また、本法律案におきましては、調査の手続の段階における再審請求棄却事由を、再審請求に法令上の方式違反がある場合、それから再審請求が請求権の消滅後にされたものである場合、書面に記載された再審請求理由が明らかに四百三十五条各号又は四百三十六条一項各号に掲げる場合に該当しない場合に限定しているところでございます。
これらの場合に該当しない場合には調査の手続において再審請求を棄却することはできず、再審請求が理由のあるものであることが明らかな場合に該当する場合を除いて審判開始決定をしなければならないこととしているところでございます。
その上で、審判開始決定がされた事件につきまして、再審請求者等の手続保障をより充実させるための規定を整備しているところでございます。
以上のことから、本法律案におけるスクリーニングは、再審請求者側の手続保障の充実化や手続の円滑化、迅速化に資するものであると考えておりまして、これによりまして手続過程が不明瞭となったり遅滞したりすることとはならないと考えているところでございます。
○佐々木雅文君 今の答弁を踏まえてお聞きしますけれども、そうしますと、この予定されている四百四十四条の二第二項の一号のハに該当する場合というのは、要するに、一〇〇%明らかにこれは棄却すべきだというときには棄却されるんでしょうけれども、少しでもこれは理由があるなというふうに考えられる場合は審判は開始されるという理解でいいですか。
○政府参考人(佐藤淳君) 御指摘の書面に記載された再審請求の理由が明らかに四百三十五条各号、四百三十六条一項各号に掲げる場合に該当しないと認めるときとは、再審請求者の主張が全て真実であると認められたとしても再審開始事由に該当しない場合、すなわち、いわゆる主張自体失当の場合を意味するものでございます。
いわゆる主張自体失当に該当するか否かは個別の事案ごとに裁判所において判断されるべき事柄であると考えておりますが、例えば、再審請求者の主張が捜査手続や犯罪被害者に対する不満を述べているだけで、再審開始事由を明らかにせずに確定判決の見直しを求めている場合や、確定判決後に更生したことのみを理由として確定判決の見直しを求めている場合などはいわゆる主張自体失当に該当し得ると考えられるところでございます。
○佐々木雅文君 さあ、そうすると裁判所の問題になってくるわけですけれども、裁判所にも伺います。
遅滞なくとありますけれども、これどの程度で処理をすべきだというふうに考えていらっしゃいますでしょうか。また、特段の考慮要素が今示されるわけでもない中で、基礎的な資料で判断するということになるわけですけれども、今もお話ありました原審の結果、確定記録であったりとか新たに出された再審の請求書、またそこに添付された証拠等で判断するということですけれども、そうすると、結局、担当裁判官の意識や意欲に左右されるというこれまでの現状に変わらないんじゃないかというふうに思うわけですけれども、結局、調査手続規定が入ることによって、これまでと同様に時間が掛かったり、また審判の開始決定すらされなかったりするという場合もあるのではないかというふうに思うんですが、こうした点に裁判所におかれてはどのように認識をされているか、伺います。
○最高裁判所長官代理者(平城文啓君) お答え申し上げます。
再審請求事件については様々なものがありまして、審理の進め方はこのような個々の事案に応じて各裁判体が判断すべきことであると認識しておりますので、これを離れて最高裁事務当局として標準的な処理期間をお示しすることは困難なことは御理解いただきたいと思います。
その上で、一般論として申し上げますと、改正後の刑事訴訟法四百四十四条の二第一項において、裁判所には遅滞なく調査することが義務付けられておりますので、合理的な理由なく調査を遅延させるようなことは許されないというふうに認識しているところでございます。
また、仮に再審請求人の主張に不明瞭な部分があるなどした場合には、再審請求人に釈明を求めたり補正を促したりすることなどを通じて、できる限り早期にその主張を明確化するような働きかけをすることも考えられるものと認識しているところでございます。
○佐々木雅文君 この調査手続を設けることによって、再審手続のそもそも間口が狭まるようなことだけはあってはならないことだと思いますので、その点も含めた今後の運用体制をしっかりと構築をしていただきたいなということを申し上げたいと思います。
その上で、次の質問をさせていただきますけれども、午前中も各委員の先生方からお話がありましたし、やはりこの証拠開示の状況というところが大きな問題だというふうに思います。
先日の本会議でも、総理は、関連する証拠の範囲は相当の広がりを持って、審理に必要かつ十分な証拠が裁判所に提出されること、また、法律案成立後には、制度の趣旨や内容を十分に周知し、適正な運用確保に努めるというふうに述べていらっしゃるんですけれども、実際どの程度開示が進んでいくのかというところは、これは大変大いに懸念を持っているところであります。
これまでの歴史を少し振り返ると、刑事訴訟法は、この証拠開示手続を整理して充実した公判審理を行う、そうした目的を踏まえまして、午前中もお話ありましたとおり、公判前整理手続が導入される、こうした改正も行われてきたわけでありますが、そうした経緯も含めてお聞きをしたいと思います。
これで開示が進んだというふうにおっしゃるんだけれども、公判整理手続に付された後も、弁護人が証拠開示請求を行ったとしても検察官が積極的に開示に応じるとは限らない、こうした状況が今まで起こっています。例えば、類型証拠や主張関連証拠が提出されていないと認める場合には、この場合は刑訴法の現行の三百十六条の二十六で裁判所が開示をさせる権限を持たせているわけですが、この裁定請求に至ることによってようやく検察官が開示への対応をされるということも指摘をされているのが今の現状でもあります。なので、公判整理手続があったとしても、結局のところ、証拠不開示の姿勢に変化が乏しくて、弁護人側にはそれに対応することを余儀なくされているというのが今の刑事弁護の現状だと思います。
お手元に今日は季刊「刑事弁護」の百二十三号を配付をさせていただいておりまして、その例を幾つか取り上げたいというふうに思います。
一つは、資料にもございますが、そのうちの事例一であります。これは、概要を申し上げますと、一審が有罪で、控訴審で破棄差戻し、差戻し後の一審で無罪確定となった事案です。検察側証人と被害者とされる人との間におけるLINE等の通信交換の状況が重要な証拠として考えられた事案であります。
その年の五月に、第一審で弁護人が類型証拠開示請求を行いましたら、不存在という回答をされたと。検察側証人に公務所照会を掛けると、存否も明確にされずに無視をされてしまった。そのまま手続は進んで尋問も行われて、同じ年の八月に有罪判決が出されたというふうな事案です。控訴審で改めて弁護人がLINE履歴等を証拠開示請求をしたところ、検察がこれにそこのタイミングで応じて、開示された履歴が一つの決め手となって破棄差戻しとなった、こういう事案が事例一です。
もう一つが、少し飛ばしますが、事例の四に、④になりますが、これは、警察官の有形力行使が違法となって、その後の強制採尿手続を経た鑑定結果が違法収集証拠であることが争点となったという事例です。
当初からそれが争点であることを明示の上で弁護人が公判前整理手続に付すことを請求したところ、検察側は、任意開示請求に柔軟な対応をするから整理手続は不要、不相当との意見がその時点では述べられた。結局、最終的には公判前整理手続に付されたわけですけれども、その上で、弁護人が類型証拠として捜査書類に貼付された写真の電子データ等を全て開示するよう求めたら、一度は検察官は開示に応じたと。ただ、弁護人が確認すると、一部であって全てではなかったことから、未開示分のデータを改めて請求したら、検察側では既にデータは消去されているとして不存在と回答をされた。その後の求釈明や再度の請求をしても合理的な説明はされなかったので、裁定請求をし、事実取調べとして関係警察官の証人尋問実施も求めたら、検察側から、再捜査の結果、データが発見されたとして開示されたという内容です。検察は、開示したから裁定請求棄却や尋問不要という意見書を出したんですけど、裁判所は尋問を実施して、警察のデータ管理が不適切であると考えられて、開示されたデータの中で欠落しているデータがあったことからその開示も求めたが、その点は裁定請求は棄却をされて、即時抗告も棄却された。この証拠開示のやり取りだけで起訴から約一年半が経過していた、こういう事例があります。
そのほかにも幾つかこの季刊「刑事弁護」の中に事例が複数紹介をされているわけですが、こうしたことは氷山の一角ではないかというふうに考えざるを得ないと思っています。これらの事例は、かつ、弁護人の努力で開示に至ったものを中心に紹介されているわけなんですけれども、他方で、開示されないままだったり裁定請求も棄却されてしまう事例も、そのほかにも多くあるのではないかというふうに思うんです。
こうした事例は、検察におかれても認識されたり共有されたりしていますか。
○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。
検察当局におきましては、もとより適切な証拠開示の対応に努めているものと承知しているところでございますけれども、証拠開示への対応に問題があった事件はあるということでございます。
そうした事件を把握した場合には、その問題点を検討して、必要に応じて検察官の間で問題意識を共有して、反省すべき点は反省して、その後の捜査、公判の教訓とするなど、基本に忠実で適切な捜査・公判活動の遂行に努めているということであると承知しております。
引き続き、こうした公判遂行に、捜査、公判に努めていくことが肝要であると思いますけれども、こういった問題点を検討して、例えばということでありますけれども、各種の会合や研修においてその問題点や反省点を共有するであったりとか、無罪事件等の検証結果につきましては、検察庁のホームページに掲載して公表するとともに、全検察官に配付して共有するといった方策を取っているところでございます。
その上で、委員の御指摘の例えば事例一の方でいきますと、要するに、これは公判前整理手続が終わった後に検察官がそれに関する証拠を入手したということで、公判前整理手続が終わっていたという事案でありますけれども、これについては国賠訴訟が行われておりまして、検察官の行為の国家賠償法上の違法性を認めて国に賠償を命じた第一審判決がありまして、国が控訴することなく確定した事案であると理解しております。
こうした事案につきましても、この判決結果を今後の執務の参考とするために庁内で周知するとともに、最高検察庁監察指導部による調査の結果、こういう客観証拠を入手した時点で少なくとも任意開示をするか否かを検討することが望ましかったとして担当検察官に対する指導がなされたというものであると承知しております。
○佐々木雅文君 今もお話がありましたとおり、いろいろな対応はされているということですけれども、とはいえ、こうした事例を含めた把握や共有がなされているとするならば、なぜ繰り返しこうしたことが起こってしまうのかということが問題だと思います。
今回御紹介をさせていただいた各事案がありますけれども、共通していることの一つは、証拠や証拠化する前のデータ、元データとかも含めて、検察や警察には存在していないと言いながらも後から発見されたという、こういうことが共通しているところです。
警察の、その都度その都度の事例に書かれているような言い分を前提をすると、警察側の方から情報が上げられなかったり管理ができていなかったりしたということが原因だということも記載がありますけれども、そうしたことも要素の一つなのではないかというふうには思われます。
その上で、現在提出されている、今のは通常審のお話ですけれども、現在提出されている再審に関するこの法律案における証拠提出命令においては、更に関連性の要件も求められているわけです。修正案では附則に、任意での証拠提出、開示は事案に応じ適切に行うとはされてはいます。しかしながら、今、繰り返しになりますけど、通常審であったとしても今申し上げたような現状なわけであります。従来の慣行は否定されないというふうに言っても、極めて消極的なこれまでの慣行が引き継がれても全く意味がないと思います。
しかも、大臣は、再審においては請求人や弁護人側で証拠の内容、有無はある程度想定され得るとも答弁されていますけど、実際はそんなことはありません。通常審においてすら、結果論として、証拠にたどり着いたり合理的な説明ができなくなってようやく証拠が提出されているというのが現状なわけです。
公判前整理手続という整理があったとしても、任意では満足に開示がされていない状況がある中で、再審手続において何をもって適正な運用となるんでしょうか。適正な運用だというんであれば、少なくともこの再審手続においては、裁判所が証拠の提出や開示を求めた場合は検察側は必ず提出すること、開示すること、これを明言すべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。
委員御指摘のように、本当に事件多数ある中で、個別の事件については様々な弁護人側と検察官側に主張が異なり、それから裁判所の判断も個別の事案に応じて様々なされるということでありますので、いろんな事案があるということは承知しておりますが、先ほど申し上げたとおり、証拠開示等につきましては適切に対応するように努めなければいけない、そういうミスが、ミスとか問題があればそういうことを反省してちゃんと修正していくということを努めていかなければいけないものだというふうに考えております。
その上で、再審請求審におきましても、先ほど、公判前整理手続がある事件、通常審でも証拠開示が必ずしも十分でないというお話がありましたけれども、私どもの認識としては、幅広い証拠開示が定着している、その中で、いろんな個別の事案によっては検察官と弁護人の間の認識が異なることもあるというのはそれは事実、それからその弁護人側の主張みたいなことがなされることもあるということであります。
その上で、お尋ねの件でありますけれども、検察当局におきましては、その裁判所による証拠の提出、開示の勧告に法的拘束力はないところで、また様々なケースがあり得る中で一律の対応が困難でありますけれども、個々の事案ごとに対応しているということでございまして、衆議院における修正により加えられた附則四条二項におきまして、運用上の措置として裁判所による勧告や検察官による任意での証拠の提出、開示について適切に行われていくことを法文上担保するものであると受け止めております。
そのため、本法律案が改正法として成立した場合には、検察当局におきまして、任意での証拠の提出の開示の運用につきましても、従来より後退させないことはもとより、追加された附則四条二項の趣旨を踏まえて、個別の事情に応じ、これまで以上に適切な対応に努めていくものと考えているところでございます。
○佐々木雅文君 そのまさに任意が問題で、今まで、任意で出す、出すと言いながらも出し切れていないということであったりとか、繰り返しになりますけど、裁定請求まで行ってようやく、しかも警察官尋問しますよと言ってようやく出してくるというのでは、任意とはちょっとなかなか言えないんじゃないかなというふうに思いますから、そうした点を担保するといっても、文言上任意と書かれてしまっているわけで、それでは本当に出されるのか出されないのかというところは任意になってしまうということだと思いますから、そこを申し上げているところですから、その点をこのままでいいのかどうかというのがずっと議論されているところだと思いますので、その点をしっかりと御認識をいただきたいというふうに思います。
この証拠の関係で申し上げますと、目的外使用禁止につきましても、午前中もお話がありました、再審請求者またその弁護人に対してそれぞれ目的外使用禁止について罰則が設けられています。
もうこれ繰り返しになりますけど、これまでの審議でも、当事者主義の通常審で設けられている規定を職権主義的構造の再審手続に設けることに整合性がないんじゃないかということは、もう皆さんおっしゃっているところだと思います。
その上で、再審請求者については、再審手続、その準備のため以外の目的で交付することが罰則の対象となっています。そうすると、例えば、仮にですけど、再審を経て無罪が確定をしたという場合に、捜査機関と裁判所の違法行為を認定させるための国賠訴訟を起こすということを考えた場合に、その訴訟で再審請求審で開示された証拠を使用したとすれば、目的外使用が禁止されてしまうと、再審請求人側は、国賠訴訟の段階から参加しようとする弁護士に提訴前の開示証拠を見せられなくなってしまうのではないか、国賠訴訟を起こすべきか相談したり、捜査機関のどの行為が違法かを検討することが難しくなるのではないかという懸念が示されているわけですけれども、こうした場合にも、再審手続やその準備のため以外の目的の対象となってしまうのか、伺います。
○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。
お尋ねにつきましては、個別の事案ごとに具体的な事実関係等を踏まえて判断されるべき事柄でございますけれども、一般論として申し上げますと、例えば、再審請求審で謄写された証拠の複製等を再審無罪判決の確定後に代理人弁護士に提示した場合であるとして、その複製等を使用できる手続として条文上掲げている刑事補償請求手続等の手続やその準備に使用する目的によるものとは認められない限り、目的外使用の禁止違反には当たるということであると理解しております。
もっとも、無罪判決が確定した刑事被告事件に係る訴訟記録を含め、訴訟終結後の確定訴訟記録につきましては、無罪確定者やその代理人弁護士は、刑事確定訴訟記録法等に基づき、所定の要件及び手続に従ってその閲覧等を行うことが可能であるということでございます。
○佐々木雅文君 形式的には構成要件に該当し得るということなのかなというふうに思いますけど、その前提として、個別のケースはそれぞれに判断されるものだから一概に言えないというのは、これはもうずっと一貫しておっしゃっているような回答の内容になるんですけど、つまり、どういう場合に罰則が適用されるのか、その範囲が明確じゃないということをおっしゃっているのとイコールだと思うんです。それが当事者を大きく萎縮させることにつながっているんだと思うんです。
さらに、その違法性の有無を最初に判断するのは捜査機関側になるわけで、そこに恣意的な判断がされるとは思いませんけれども、それは再審請求者やその支援者、関係者にその気持ちや意思に縛りを掛けるものになると思います。目的外使用禁止、罰則に関する条項は外すべきだと思うんです。
念のため、改めて、立法事実はあるのかどうか、午前もありましたけど、改めて伺います。
○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。
再審請求審において開示された証拠の利用によって被害者等の名誉、プライバシーが侵害された具体的な事例は把握していないものでありますが、通常審における証拠の目的外使用の禁止に係る罰則が適用された事案として、例えば、強制わいせつ事件の被告人であった者がその犯罪に係る事件の捜査報告書等の内容をインターネット上で閲覧できるようにした事案、いわゆる児童買春等処罰法違反の被告人であった者がその犯罪に係る事件の供述調書の抄本に関する複製の一部が閲覧可能なURLをインターネットサイトに掲載した事案などがあるものと承知しております。
その上で、証拠の目的外使用による関係者の名誉、プライバシーの侵害等の弊害を確実に防止する必要があることは再審請求審についても同様である上、これは、裁判所が証拠の目的外使用を懸念して本法律案により新設される証拠の提出命令をちゅうちょしたり、再審請求審において本来提出されるべき証拠が提出されないこととなるような事態も避けなければならないと考えておりまして、本法律案におきましては、通常審と同様に、再審請求審においても証拠の目的外使用を禁止することとしているところでございます。
○佐々木雅文君 今回の改正、法律そのものの改正目的なんですけど、検察側に対するこれまでの様々な指摘に大きな反省をして、無辜の救済を速やかに行うというふうに説明をされているわけですけれども、そうすると、つまり、捜査機関の今後の捜査への支障が生じることへの配慮は目的には入っていないはずなんです。プライバシーへの対応が必要なことはもうこれ誰も否定していないですし、しかし、それはこれまでの対応で十分措置がとられているということも明らかなわけでして、一律な禁止というのは明らかに行き過ぎだと思っています。
ですから、削除する若しくは個別に対応するというふうな配慮をすることでも十分足りるわけですから、それを踏まえた上で、少なくとも、この五年後に見直すというふうに今なっていますけれども、五年後と言わずとも、あらゆる状況を踏まえて、この目的外使用禁止や罰則の在り方は適切に精査すべきだと思いますけれども、この点を伺います。
○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。
一般に、刑事手続の過程で収集される証拠は、関係者の名誉、プライバシーに関する情報や捜査上の秘密を含み得るものでございます。
関係者の名誉、プライバシー以外に、例えば今後の捜査への影響は考慮しなくていいのではないかというお話もありましたけれども、やはり、そこに協力して、捜査への影響という趣旨は、関係者がその捜査に協力することそのものであったり、そこに協力してくれたことによる証拠であったりするわけでありますので、単純な捜査機関だけの都合ではないということは前提としたいというふうに考えるところでございます。
そのような意味で、こういった弊害というのは一たび生ずると回復が困難な場合もあるものですから、本法律案においては、その確実な防止を図るために、通常審と同様に、証拠の目的外使用を一般的に禁止するところとしているところでございます。
その上で、再審手続やその準備に使用することはもとより許されるものでございますし、証拠の概要を伝達するなどの行為は禁止されませんし、目的外使用の禁止に違反した場合の措置についても、個別の事情を考慮することとしているところでございます。
もとより、目的外使用の禁止規定について様々な御意見があることは承知しているところでございまして、この委員会でも様々議論が行われているところでございますので、衆議院における修正により附則二条に再審請求の手続における証拠の目的外使用の禁止に関する制度が明記されているところでございますので、同条に基づく検討に際して、特に検討の対象とすべきであるという趣旨であると認識しておりまして、法務省としても、その趣旨を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。
○佐々木雅文君 もう一点だけ、証拠の目的外使用禁止のことに関してすごいニッチなこと聞いて申し訳ないんですけれど、四百四十五条の六第二項、これは弁護人に関する規定ですけれど、念のためにこれについても聞くんですが、ここの規定ぶりを見ると、弁護人は証拠等の複製を対価として利益を得る目的で人に交付や提供すると罰則が適用となっております。
もう本当、例えばの話なんですけど、弁護人たる弁護士が、再審請求者から依頼を受けて再審手続に関する業務を行って、報酬を得るという目的で、業務の一環として依頼者である再審請求者に証拠の複製等を提示する場合も、形式的にはこれ構成要件に該当し得る可能性があると思うんですけれど、これは罰則の適用となるのかどうか、念のため聞きます。
○政府参考人(佐藤淳君) 済みません、繰り返しあれですけれども、個別の事案ごとに具体的な事実関係等を踏まえて判断されるべき事柄でございますが、弁護人が再審請求審で謄写した証拠の複製等を再審手続やその準備に使用する目的で再審請求者に提示することは、再審請求者から弁護報酬を受けるか否かにかかわらず、そもそも目的外使用の禁止違反には当たらないと考えられるところでございまして、その場合は当然罰則の対象にはならないということでございます。
○佐々木雅文君 何で聞いたかというと、ここに、人に交付しという、かなり大きい、自然人を相手にするような書きっぷりになっていたので、ちょっと念のために聞きました。
その上で、証拠の管理の方について伺いたいと思います。
先日の本会議質疑をさせていただいた際に、あかま国家公安委員会委員長は、警察においては、捜査の結果、作成され又は得られた捜査資料や証拠物件について、国家公安委員会規則である犯罪捜査規範や関係通達等に基づき、組織的かつ適正に管理しております。また、警察においては、事件捜査に当たり、平素から検察官と緊密に連携して対応しており、こうした捜査資料、証拠物件のうち、犯罪事実の有無や事案の解明のために必要なものについては、被疑者に有利か不利かにかかわらず、関係法令に基づき検察官に送致しておりますというふうに答弁されています。
しかし、先ほど申し上げたとおり、犯罪捜査規範や各種規範、通達が整備されているとしても、先ほど申し上げたような事例は多くあります。検察官の言い分だと、先ほどの資料の事例三だと、対象のデータが存在していたことについて、警察の手違いだった、警察の他の部署に紛れ込んでいたというふうに言っています。事例六だと、開示しなかった理由について、警察が保管していて検察庁では把握できなかったというふうに検察側は述べています。多くの場合、検察側は、管理や保管の仕方、情報伝達の仕方など、警察側に課題があるということを理由にしているわけですけれども、制度やルールがあっても、運用が不適切なら本末転倒になってしまいます。
なぜ後日証拠が発見されたりするのでしょうか。そもそも保管、管理ができているのでしょうか。繰り返されるこうした状況をどのように把握しているのか、そして、検察の言い分を前提とするなら、保管、管理に問題があるとしか言いようがないんですが、その点を含めて警察側の説明をお願いします。
○政府参考人(遠藤剛君) お答えいたします。
警察における証拠の管理等の在り方を含めまして、警察の捜査活動について、判決等において様々な厳しい御指摘があることは警察庁としても重く受け止めているところでございます。
その上で、不適正事案等の要因につきましては、その態様が様々であるため一概にお答えすることは困難でありますが、警察としては、個別の不適正事案から得られた教訓を踏まえて必要な再発防止策に取り組んできたところでございまして、例えば、過去に発生した証拠品保管、管理に係る不適切事案におきましては、その発生原因等を踏まえて、証拠品の保管、管理を含む捜査管理の重要性に関する指導の徹底でありますとか、組織的な引継ぎの徹底などの再発防止策を指示したところでございます。
その上で、委員御指摘のとおり、第一線の捜査員一人一人が証拠物件等について定められた取扱方法を確実に遵守することが肝要でありますので、警察庁におきましては、各種会議や業務監察等の機会を捉えて指導を行っているほか、各都道府県警察本部に適正捜査指導官を設置させまして、捜査関係法令等の遵守に関する指導、教養の徹底を指示しているところでございます。
○佐々木雅文君 証拠の適正な管理をされるということなわけですけれども、例えば、私なんかが考えると、手元にある証拠とか証拠外の元データや資料等についてとかは、例えば表計算ソフトなどを利用するなどして漏れがないように把握するということが考えられたりすると思いますし、その方が便利だと思うんですけれども、そういった方法は取られているんでしょうか。そうでないならば、どういう管理の体制なのか、その点も伺いたいと思います。
○政府参考人(遠藤剛君) お答えいたします。
警察は、第一次捜査機関といたしまして日々様々な事件を同時並行で捜査しておりまして、かつ事件の真相が全く分からない段階から膨大な作業を行っておりますが、その過程では、結果として事件とは全く関係ないものが収集されることも多く、そうしたものの数も膨大なものとなっているところでございます。そのため、捜査の結果、作成された捜査資料等の全てについて、御指摘のような一覧表を一律に作成することとはしていないところでございます。
その上で、管理方法について申し上げますと、まず、証拠物件については、所有者等の私法上の権利に関わるものでもありますので、犯罪捜査規範等に基づき、押収後直ちに還付することが確実な場合などを除いて、品名や数量、事件名、所有者の氏名等を記載した証拠物件保存簿に押収した順に登録した上、鑑定嘱託や還付といった出納状況を明らかにするなどしているところです。
また、捜査資料につきましては、事件ごとに簿冊に編綴した上で、施錠できるキャビネット等に保管し、当該キャビネット等の鍵は指定された者が管理することでありますとか、担当者以外の者が取り扱うことのないようにすることや、関係機関への持込み等、捜査幹部が認めた場合を除き、庁舎外へ持ち出さないようにすることなどとしているところでございます。
○佐々木雅文君 なぜそのことを聞くかというと、これまでの証拠開示の検察の言い分を踏まえると、警察の保管の仕方に問題があって、かつその証拠やその前提となる資料やデータがきちんと伝わっていないから開示ができなかったという、そういう理屈になります。
であれば、管理している一覧があれば、それをそのまま検察に送付してしまえばこうした問題を防げますし、全体像の把握にも資するし、警察も後付けでいろいろ言われずに済むという一番いい形だと思うんですけど、そうしたことがなぜできないのでしょう。
○政府参考人(遠藤剛君) お答えいたします。
先ほど申し上げました第一次捜査機関としての実情から、作成された捜査資料等の全てについて御指摘のような一覧表を一律に作成することは、捜査力が限られる中で、業務量の増加により、当該事件のほか、他の事件も含めた円滑かつ迅速な捜査の遂行でありますとか、警察が対応すべき様々な事案への対応に支障を来しかねないことから、慎重な検討を要するものと考えられるところでございます。
他方で、同種のものを一か所で保管することが保管、管理上適当な捜査資料等もございまして、そうした捜査資料等につきましては、資料の種類ごとに、紛失等を防止するため、簿冊管理等を行うなどしているところであります。
いずれにいたしましても、証拠物件等の適正な保管、管理を含めて、緻密かつ適正な捜査が徹底されるよう、今後も都道府県警察に対して継続的に必要な指導を行ってまいりたいと考えております。
○佐々木雅文君 是非その点、徹底をお願いして、しっかり、検察、警察の間での証拠の共有の仕方についてはこれからもしっかりと対応していただきたいと思います。
ちょっと時間も限られてきましたんで、次に行きます。
裁判所にまた伺います。
本来、再審制度は非常救済手続なわけですけれども、つまり、逆に言うと、通常審において適切な事実認定ができていなかったということになるわけです。特に、控訴審は事後審でありますから、第一審が重要で、その担当裁判官に大きく左右されます。
裁判所として、なぜ誤判が起こるのか、これはどういう認識でしょうか。
○最高裁判所長官代理者(平城文啓君) お答え申し上げます。
最高裁事務当局として、各裁判官がそれぞれの事件で行った判断につき評価を述べることは困難でございます。
その上で申し上げますと、無実の方が有罪判決を受けるようなことは決してあってはならないというふうに考えております。そのような事態が起きないように、裁判官としては、個々の事件において当事者双方の主張に十分に耳を傾け、かつ当事者双方から提出された証拠を丁寧に吟味して、検察官が合理的な疑いを超える程度の立証を尽くしたかどうかという点を慎重に見極めて判断していくことが重要であると考えているところでございます。
○佐々木雅文君 既に逝去されていますが、木谷明さんという元裁判官、大変著名な裁判官いらっしゃいます。裁判官時代に約三十件無罪判決を出していて、そのうち控訴されたのは一件のみで、それも控訴を棄却されているという、つまり確定をしているわけです。
一人の裁判官がそれほどの数の無罪判決、余り、めったにないことだと思いますけど、例えば直近で構いませんので、刑事判決を受けた人数、年間で受けた人数、またそのうち否認をされた方、で、最終的に無罪となった方、その人数を教えてください。
○最高裁判所長官代理者(平城文啓君) お答え申し上げます。
令和六年におきまして、地方裁判所における通常第一審で判決された人員は四万五千六百十四人で、そのうち否認した被告人は四千百七十五人でございます。このうち、全部無罪又は一部無罪の裁判がされた人員は百四十六人となっております。
○佐々木雅文君 今の数で計算していくと、恐らく一人の裁判官がその裁判官時代に無罪判決を出す数を平均すると数える程度になるんではないかと思います。
でも、先ほど木谷さんの例を挙げましたが、一人の裁判官でも三十件近く無罪判決を出す場合もあるわけです。それは奇跡的にそういった配填がなされたのか、又は実は潜在的に無罪となる事例がそれぐらいあるということになるのか、裁判所としてはどう捉えていますか。
○最高裁判所長官代理者(平城文啓君) 最高裁事務当局として、裁判官が言い渡した無罪の件数の多寡、これを前提にして一定の見解を述べることは困難であるということは御理解いただきたいところでございますけれども、先ほど申し上げましたように、裁判所としては、個々の事件において当事者の主張に十分に耳を傾け、かつ提出された証拠を丁寧に吟味して審理及び判断をしていく、そういう職責を担っているものと認識しております。
○佐々木雅文君 なぜこうしたことを聞くかというと、先ほども申し上げたように、再審請求については、証拠開示、保管体制の在り方質疑しましたが、冒頭、スクリーニングのところでも言いましたけど、現状の法改正が通るとするならば、これまでと同様に、結局は裁判官がどれだけ意欲と見識を持って再審請求に臨んでいただけるかということ、大変重要になると思うからです。
この木谷さんが裁判官の傾向性も含めた、いろいろ説明をされているわけですが、結局、熟慮をして、被告人のために慎重に考え、疑わしきの原則に忠実に自分の考えを貫くという裁判官は一割ぐらいしかいないというふうに言っているわけです。まあそれが実態に近い、残りのうち六割ぐらいは優柔不断の中で結局検察官の言うとおりになってしまう、こういうことも言っているわけです。これが実態に近いんじゃないかなと思うわけですけど、こうしたことは通常審のみならず再審手続においても重要な観点だと思っているんです。こうした傾向が変わらないと、結局いつまでたっても熱心な裁判官に担当してもらえるかどうかという当たり外れの問題になりかねないと思うんです。
裁判所としても、この一割もいないとされる熟慮断行型の裁判官を増やして、積極的な訴訟指揮を執ることができる環境を整えるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(平城文啓君) お答え申し上げます。
先ほども申し上げましたが、裁判所といたしましても、無実の方が有罪判決を受けるようなことは決してあってはならないと考えているところでございます。
これまで、そのような事態が生じないように、個々の裁判官が、実務上よく問題となる論点につきまして、日々の執務の中で、合議体のほかの裁判官と議論をいたしましたり、また裁判官同士の勉強会等を通じて研さんを行ってきたりしているものと承知しております。
また、このような現場の裁判官の研さんを支援するため、司法研修所では、折に触れて裁判官の研究会や研修などにおきまして、刑事裁判における事実認定の在り方や実務上の様々な問題点について取り上げまして、実証的な裁判官同士の議論を行うこと、こういうことをしてまいりました。
最高裁といたしましては、今後も様々な方法で各裁判官の研さんを支援するとともに、裁判官同士の議論を後押しできるように努め、通常の刑事事件のみならず、再審請求事件につきましても、適切な処理に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
○佐々木雅文君 是非、その点も御対応をしっかりお願いしたいと思います。
時間が限られていますが、抗告禁止につきましても、これまでも午前中もお話があったとおりであります。今回の法改正を前提にして、この再審開始決定事案がもし起こるとすると、初めにいわゆる濫用的な再審請求を排除するスクリーニングを通過し、さらに十分に対応されるとは限らないかもしれないこの証拠開示を経ても再審をするという判断をされてようやく再審開始決定になるわけですけれども、再審が行われるわけですけれども、その中に、それに輪を掛けて抗告する余地を残す必要があるとは到底思えないんです。
今からでも抗告の余地は排除すべきだと思いますけれども、その上で、例外的に抗告すると理由を公表するというわけですが、それが慎重で限定的な運用の担保というわけですから、その理由の公表が抽象的であったり箇条書程度では説明にならないと思います。これ、どの程度具体的な内容になるのか、イメージでもよいので所見を伺います。
○政府参考人(佐藤淳君) お答えいたします。
改正後の刑訴法四百五十条の二第三項で公表の対象としている抗告をした場合におけるその理由とは、検察官が現決定が取り消されるべきであるとの主張を基礎付けるものとして構成した裁判所に対する事実認定上、法律適用上の主張を意味するところでありまして、その内容としては、この規定を設ける趣旨からすると、検察官の不服申立てが十分な根拠に基づくものであったことが分かるようなものであることが必要であると考えているところでございます。
具体的にどのような事項を公表するかにつきましては、個別事案によるところでございますけれども、重大な事実誤認があり、これに関する主張が上級審において受け入れられて再審開始決定が覆る蓋然性が高いと判断して不服申立てをした場合を例にいたしますと、訴訟関係者の名誉、プライバシー等にも配慮して、相当な範囲内で公表事項として、例えば、当該再審開始決定の判断のうち事実誤認があったとする具体的な箇所、それが重大な事実誤認であることを示す理由や根拠、その事実誤認により再審開始決定が取り消されるべきものと判断した理由や根拠などを明示して、検察官の判断の理由が分かる形で公表することとなると考えているところでございます。
○佐々木雅文君 時間、最後になります。大臣に伺います。
無辜を救済するために法整備が必要であることは、これは誰しも異存がないと思います。しかし、これまで再審について課題や問題を指摘された検察が中心となって整備しても、本当に目的に資するのかどうか懸念が拭い切れないところです。また、裁判所が問題意識を持って再審主宰してもらえるとよいですけれども、実態として検察主導の公判になるということも想定され得るところです。だから、政府として冤罪被害を二度と起こさないという強い決意があることを確認したいと思うんですが、大臣、いかがでしょう。
○国務大臣(平口洋君) お答えいたします。
処罰されるべきでない者が処罰されることはあってはならず、万が一そのようなことが生じた場合には、速やかに救済されなければならないところでございます。
本法律案は、こうした認識に立った上で、再審制度が非常救済手続としてより適切に機能するようにするために、刑事訴訟法を改正して、誤判からの確実な救済と手続の円滑化、迅速化を図るものでありまして、間違いなく再審制度を大きく前進させるものであると考えております。今国会で早期に成立させていただけるよう、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
その上で、本法律案においては、五年ごとの検討条項を設けることとしておりまして、本法律案が成立した後も、再審制度をより良いものとしていくために適切に対応してまいりたいと考えております。
○委員長(伊藤孝江君) 時間になっておりますので、おまとめください。
○佐々木雅文君 はい。
もっと前進させなければいけないと思いますから、そのためにはしっかり修正すべきだと思いますので、そのことを申し上げまして、質疑を終わります。
ありがとうございました。