REPORT

活動報告

災害対策及び東日本大震災復興特別委員会 ○令和八年度一般会計予算(衆議院送付)、 令和八年度特別会計予算(衆議院送付)、 令和八年度政府関係機関予算(衆議院送付)について (内閣所管(国土強靱化関係経費、防災庁設置準備関係経費))、 (内閣府所管(内閣本府(防災関係経費)))、(防災庁所管)、 (東日本大震災復興)について質疑 議事録

第221回国会 参議院 災害対策及び東日本大震災復興特別委員会 第3号 令和8年4月1日

○佐々木雅文君 公明党の佐々木雅文でございます。
 初めに、今年の三月十一日で、あの東日本大震災から十五年となりました。改めて、犠牲になられた全ての方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、今なお苦しい思いをされている方々に心よりのお見舞いを申し上げます。
 私自身、東北を生活拠点として、東北、そしてまた北海道を活動地域としているところであります。三月七日から九日にかけましては、福島、宮城、岩手、沿岸部を中心に現地を訪れまして、じかに現状を確認をし、また地域のお声を聞いてきたところでもあります。
 公明党は、人間の復興を掲げるとともに、各県の地方議員の方々も毎年政策提言をまとめることなどを通じまして、お一人お一人に寄り添った活動を継続しているところであります。
 そうした中で、先ほど来ありますとおり、ハード面におきましては、宮城や岩手では一定の形ができてきております。他方で、地元での雇用を生み、産業を集積していくという部分では、まだまだこれから対応が必要な地域もあるのも実情です。
 特に福島浜通りにおきましては、復興は緒に就いたばかりと言っても過言ではありません。現在、福島イノベーション・コースト構想や福島国際研究教育機構を中心とした科学力、産業力の創出に一層の力を注いでいく必要もあります。また、ロボットテストフィールドには、宇宙産業やロボット産業、また都市部でのモノレール事業などに関するスタートアップ企業も集積しつつありまして、日本経済、地域経済の成長の種が多く育とうとしております。
 福島の復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再生なしと総理の施政方針演説にありますとおり、是非政府には全力で取り組んでいただきたいと思います。
 その上で、一くくりに福島、また浜通りといいましても、各市町村で置かれている状況は全く異なりますし、さらには、同じ自治体の中であったとしても、復興の様相は異なるところでもあります。だからこそ、地域の実情に応じたより一層のきめ細やかな対応が必要です。地域間の格差が広がると不公平感につながりますし、復興の意欲をそぐことにもなりかねません。そして、これまでと同じスピードで復興を進めるとなると、一定の形にするまでまた同じ十五年掛かるということにもなりかねません。
 改めて、福島浜通りを中心に、各地域の実態に合わせた不公平感を生まない細やかな対応を求めたいと思います。地域の方々が安心できるよう、力強い、そして具体的な復興への決意を改めて伺います。
○国務大臣(牧野たかお君) 復興大臣としてお答えをいたします。
 今、佐々木委員が御指摘のとおり、福島においても復興の歩みは着実に進んできた一方で、市町村によりましてはいまだに多くの帰還困難区域を抱えるとともに、市町村ごとに、避難指示解除の時期などの違いから、復興の状況はそれぞれ異なっております。
 今日、四月一日から始まりました第三期復興・創生期間は、復興に向けた課題を解決していく極めて重要な期間だと考えております。引き続き、国が前面に立って、復興の状況が異なる地域ごとの実情にきめ細かく対応しながら、住民の帰還や生活環境の整備、産業、なりわいの再生などを一層進めてまいります。
 また、今年度から、復興庁の新たな拠点として双葉町に四十人前後の体制の福島復興浜通りセンターを整備しまして、より現場に近いところで細かないろんな御要望を受けながら復興に取り組んでまいりたいと思っております。
 復興に向けた様々な課題、まだたくさん残っておりますけれども、まずはこの第三期復興・創生期間で何としても解決していくという強い決意で、総力を挙げて取り組んでまいります。
○佐々木雅文君 是非よろしくお願いしたいと思います。
 そして、ハード面の整備はこれからもしっかりと進めなければなりませんが、と同時に、ソフト面の対応は更に重要であります。
 被災者の心のケアは、これまで国が主導してまいりましたけれども、現在は各自治体に事業、体制移行しております。現時点では滞りなく運用がされているというふうに思います。
 その点は何よりかと思いますが、他方で、内面に受けた傷や葛藤というのは、災害後直ちに顕在化するものとは限らずに、生活再建の進行や、またライフステージに応じて、不安や喪失、孤立、家族関係の変化に現れることも十分あり得るところであります。実際に、未就学で震災を経験し、数年経過してから問題行動を有するお子さん方が一定割合いたり、親の震災によって精神的な不調が子に与える影響があるという研究もあります。さらに、お子さんだった世代が、震災から十五年経過して、今度はその方々も親になっていく年齢です。その世代の精神的な不調がその子らに及ぶ可能性もあります。
 ですから、心理的、精神的な支援体制が各自治体の一般施策に移行したとしても、引き続き国が関わって各種の継続的な調査を行ったり支援をしたりすること、また各自治体の相談体制を維持するために、心理職などの人材確保や中長期の伴走支援を可能とする財政措置など、国のバックアップ、関与が必要だと思います。その点の政府の所見を伺います。
○国務大臣(牧野たかお君) お答えをいたします。
 今、佐々木委員が御心配をされていらっしゃるのは、岩手、宮城の復興局を廃止した件のことが主だと思いますけれども、被災者の心のケアにつきましては、被災直後から、被災三県に設置されました心のケアセンターにおきまして、保健師等の専門職による被災者への相談、訪問支援などを実施するとともに、市町村や保健所においても相談支援等を重ねてきました。
 本日から第三期復興・創生期間となりまして、心のケア等の課題につきましては、中長期的な課題として政府全体の施策を活用することにしております。
 各県では、地域の実情を踏まえながら、支援の担い手となる保健師等の専門人材の育成など体制整備に取り組んで、心のケアに関し必要な対応を継続していくと承知しております。これに併せまして、国としても、被災地の状況を調査なども通じて丁寧に把握し、関係省庁が連携して対応していくことが重要と考えております。
 また、復興庁といたしましては、本日から、本庁内に岩手宮城復興推進室を、室長以下十人体制でありますが、新たに設置したところであります。
 引き続き、必要な支援が行われるよう、自治体からの相談に個別に対応して、御意見などを丁寧に伺いながら、適切に対応してまいります。
○佐々木雅文君 是非、引き続きお願いしたいと思います。
 そして、今申し上げましたとおり、この心のケアという部分では、災害発生時に周囲が若年層、若い方々にどのように関わっていくことができるかということも大変大事なことで、それがその人個人の人生に、また社会全体にも大きく影響をしていくところでもあります。
 こどもの居場所づくりに関する指針におきましても、災害時などの非常時こそ子供の声を聞き、子供の権利を守ることが必要である、災害時において子供が居場所を持ち、遊びの機会等が確保されるよう配慮することは、子供の心の回復の観点からも重要であるというふうに記載をされています。また、こども家庭庁さんからは、災害時における子供の居場所づくりの手引も今作られているところであります。
 先日、三月には、日本発達心理学会でも「災害時のこどもの居場所づくり実態調査にみる、長期的なこども・若者支援のあり方」という研究発表がされていますが、十八歳以下で自然災害による被災経験を有する十八歳から三十九歳までの人を対象にした二〇二四年の調査研究結果によりますと、中越地震や西日本豪雨、東日本大震災の被災経験者の半数近くが長期間経過しても心理的ストレスが高く、一般と比較して高い水準とされています。そして、居場所の利用経験に関するその研究の考察の中では、地元への所属意識や将来展望の面で、さらに居場所での信頼できる大人との関わりが現在の生活満足度に明らかな影響が生じているという研究もされています。
 こうした知見を踏まえますと、災害発生時の居場所支援というものは、短期ではなくて継続的に支援をしていく必要があること、そして利用者に対する質を向上させる意味でも、関わる側の支援者の育成や研修等の充実化を図る必要もあるかと思います。
 こうした居場所づくり、範囲も多岐にわたりまして、横断的な業務でもあります。また、未就学児、小学生だけではなくて、中高生などの十代半ば以降のお子さん方も置き去りにされないような十分な対応が求められると思います。
 そうした意味でも、こども家庭庁さんとも協力の上で着実に推進をしていただきたいと思いますが、この点の所見も伺います。
○政府参考人(竹林悟史君) お答え申し上げます。
 こども家庭庁におきましては、災害時の居場所づくりにつきまして、平時からの備えや被災時に求められる対応の周知等を図るため、自治体等が活用することを想定いたしまして、令和七年五月に災害時のこどもの居場所づくりの手引きを作成いたしました。御指摘の中高生への支援につきましては、この手引におきまして、中高生が居場所の活動計画作りに参加できるよう機会提供等をすることや、夕食後の夜のような利用しやすい時間帯に居場所を開く配慮をすること、自由にできる時間や学習の時間の確保など、中高生世代にふさわしい過ごし方を保障することなどの重要性を示しております。
 また、御指摘の支援者の養成につきましては、被災地に向かう支援者や自治体職員、子供に関わる事業者を対象といたしまして、被災地で継続的に子供の居場所づくりに取り組んでいただくための具体的な方法を示した研修資料の作成を進めているところでございます。
 中高生世代を含め、子供にとって居場所は子供の回復する力を引き出す重要な場であり、引き続き、この手引の周知、広報等を通じまして、災害時の居場所づくりに取り組む自治体を支援してまいります。
○佐々木雅文君 是非よろしくお願いしたいと思います。信頼できる大人との関わりというところが大切な要素ともなっておりますので、支援する側の方々の育成という部分もしっかりお願いをしたいと思います。
 現状、災害時の避難行動については、原則として徒歩避難とされているかと思います。他方で、近年の大規模災害においては、高齢者や障害者の方々を始め、車両による避難も発生をしていると思います。特に、高齢化が進む地方部におきましては、車両避難は例外ではなくて、むしろ現実的かつ不可避な避難手段として位置付けていくべきだと思います。
 こうした実態を前提とした防災計画でなければ、結果として大渋滞や混乱を招いて、避難の安全性や迅速性を損ないかねません。徒歩避難の原則は維持しつつも、徒歩避難が困難な方々については車両避難を前提とした避難計画などを明確にすることが有用ではないかと考えます。
 例えば、現状でも災害時要援護者情報登録制度がありますが、こうした仕組みを活用して、要配慮者のうち車両避難が想定される世帯や車両避難に頼らざるを得ない世帯、御本人の同意の上で登録をして、その情報を基に避難計画、交通誘導、福祉輸送に反映していくことであったり、また、大規模災害時に交通規制や交通制御について、発動要件、指揮系統、情報共有手段や手順を整理して、要配慮者輸送を優先する運用を統一化するという仕組みも策定することなども考えられます。
 徒歩だけでは避難が困難なケースは地方部中心に十分あり得るところでもありますので、そうしたことを念頭に、車両避難発生を前提とした交通マネジメントを制度的に組み込んだ防災体制への転換を図るべきではないかと考えますが、所見を伺います。
○政府参考人(鎌原宜文君) 政府の防災基本計画におきましては、委員御指摘のとおり、津波から避難を行うに当たりましては、地震による道路などの損傷や液状化などによる交通障害、あるいは渋滞が発生することによる避難支援活動への支障などが考えられることから、徒歩を原則としております。その上で、高齢者、障害者といった要配慮者の存在や津波到達時間など地域の実情を踏まえまして、やむを得ず車両で避難せざるを得ない場合には、市町村におきまして、自動車で安全かつ確実に避難できる方策をあらかじめ検討するよう求めているところでございます。
 市町村の取組の例としましては、例えば自動車で避難する場合、渋滞の原因となる右折を控えて避難時には左折して避難場所へ向かうことを要請している事例ですとか、自動車避難の対象者を地域別で分けている例などがございます。このような地域の実情に応じたルール化が推進されますよう、政府としましても、本年一月にマニュアルを改定して周知を図っているところであります。
 いずれにしましても、引き続き、地域の課題に耳を傾けながら、要配慮者の方も含めて確実な避難ができますよう、市町村への支援に努めてまいりたいと考えております。
 以上です。
○佐々木雅文君 ありがとうございます。
 次に、一般的なこの近年の高齢化や単身世帯の増加などの社会情勢の変化によって、自治会運営や見守り活動が一部の人に集中しやすくなって管理や支援の負担が重くなっているという問題があります。こうした課題は、災害公営住宅を含む公営住宅でも同様だと思います。
 そこで、誰かを排除したり入居者の入替えを目的とせずに居住者の多様性を高めていくソーシャルミックス、一つの住宅地の中で収入階層や年齢、民族、就労資格など様々な条件を持つ住民が混在していることを指しますが、そうしたソーシャルミックスを踏まえた解決を目指していくことが考えられます。
 そうした意味からも、災害公営住宅を仮の住まいではなくて将来にわたる持続可能な地域拠点として位置付けていくことや、また属性の偏在を防ぐ観点から、若年層や子育て世代等を限定的に、また計画的に受け入れる運用を明確化していくことなども考えていくべきかと思います。その結果として持続可能な地域コミュニティーを維持、再生していくことは、防災力の向上にも資するものであって、安心して生活していくことの第一歩にもなります。
 こうした点も是非所見を伺いたいと思います。
○政府参考人(豊嶋太朗君) 委員御指摘の持続可能な地域コミュニティーへの配慮、これは公営住宅団地の運営においても留意すべきものと考えております。東日本大震災の被災地の公営住宅団地のように、管理から一定期間が経過いたしましたこういった団地の運営におきましても重要な観点であると考えております。
 こういったことに関しまして、例えば空室になった公営住宅の住戸募集ですとか入居者の選考におきまして、地方公共団体が地域の実情を踏まえて子育て世帯などを優先的に取り扱うことが可能となっております。このほか、被災者や低所得者の入居ニーズが減った住宅は、一時的な目的外使用や用途廃止などの手続を行いまして、入居者の属性や家賃などに関し地方公共団体の裁量で自由に運用できるような、こういった住宅に転用することも考えられます。
 いずれにいたしましても、国土交通省といたしましては、被災自治体の意向を丁寧に伺いながら、地元のニーズに沿った災害公営住宅の運営が柔軟に進められるよう、引き続き支援に取り組んでまいりたいと考えております。
○佐々木雅文君 是非、これからそうした部分を含めて柔軟に活用できる、そういう体制を是非これからも構築をしていっていただきたいと思います。
 最後に、ちょっと意見のようになる内容になりますが、東日本大震災、常に風評と風化という二つの風との戦いであります。
 風化につきましては、十五年の経過とともに薄れてしまっていっている、そうした現実もあります。そうした復興の途上である以上、今の現状を知ってほしい、そして当時何が起こったのかを語り継いでいきたい、そういうことが防災意識を高めていくことにもつながっていきます。
 風化を防いでいく上では、動画などの媒体も大切だと思います。しかし、実際に現地に足を運んで当事者からお話を伺う、今も各地で語り部活動を継続されている方がいらっしゃいます。その方々も様々な思いがある中で、周囲の人に、そして次の世代に経験を紡いでいかれようとされています。
 けれども、実態は厳しい状況もあります。語り部活動などの伝承を支える民間団体への財政的な支援もなかなかないという話もあります。国としても伝承、震災伝承の大切さを掲げているわけですから、各団体との連携を深める場面を、国や地方公共団体、団体との連携を深めて用意をしたり、またリーダーシップを取って調整をすること、さらに民間団体への物心両面での直接的な支援も含めて是非検討をしていただきたいと思いますので、こうした点も御意見申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。