REPORT

活動報告

災害対策及び東日本大震災復興特別委員会 ○防災庁設置法案(閣法第13号)(衆議院送付) ○防災庁設置法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(閣法第14号)(衆議院送付)について質疑 議事録

第221回国会 参議院 災害対策及び東日本大震災復興特別委員会 第7号 令和8年6月19日

○佐々木雅文君 公明党の佐々木雅文です。
 本日は、参考人の先生方におかれましては、御多用のところにもかかわらず、また遠いところにもかかわらずお運びをいただきましたこと、また貴重なお話を頂戴いたしましたこと、心より御礼と感謝を申し上げます。
 現在、議題となっていますこの防災庁設置法案でありますけれども、この防災庁は、大規模災害に対する事前防災を推進するということが大きな目的の一つとなっております。私も、この災害発生後に救えなかった命という言葉をなくしていくためにも事前防災に注力していくということが大変重要であると、このように考えております。
 これまでも、国や各自治体の皆さん、また各団体、企業のお取組もございまして、この防災への知識であったり、またハザードマップなども一定程度普及してきたところかと思います。
 他方で、家具などの転倒防止実施率であったりとか感震ブレーカーの設置率などの対策は、これも引き続き一〇〇%にしていかなければなりませんし、また津波も発災後十分で避難開始できるようにする、こうしたことが実現していけば、先ほどもお話ありましたが、直接死、死者数を大きく減らしていくことにつながっていくというふうに思います。
 こうした防災、減災のための行動に実際に結び付かなければ現状は変えられないと思いますが、そのためにも行動変容を起こしていく必要があると思います。
 それに加えて、正しい情報を提供することだけではなくて、具体的な介入を伴う仕組みをつくっていくということが意義があるものではないかというふうに思っております。例えば、地域住民の方と直接接する機会の多い民生委員の方であったり、地域包括支援センターや社協の皆さんなどの福祉職の方々を始めとした皆さんに、この災害直接死を防ぐための先ほどの具体的な方法を声掛けする人材を養成していくことであったりを通しまして、意識の醸成と行動変容の具体的な取組をするということが考えられるのではないかと思います。
 先ほど、三名の参考人の先生方からは、この地域や人への具体的なアプローチを取り組まれているお話を伺わせていただきましたけれども、こうした行動変容に結び付く働きかけであったり、また人材の育成につきまして、改めてそれぞれ御知見を御教示いただければと思います。
○参考人(沼田宗純君) 御質問ありがとうございます。
 その事前防災についてですけれども、私は、一番やっぱり防災庁ができて期待したいなというのは土地利用で、やはり、防災対策で事前に津波を守るために防潮堤を建設しましょうとか、さっきの津波避難タワーとか、ああいうものって寿命があるんですよね。コンクリートも、ちゃんとメンテナンスしても、まあもっても百年、百年もたないものも多いと思います。そのときに、やはり土地利用をどういうふうに進めるのかというのは大きなテーマだと思います。やはり、危ないところに住んでいて安全な場所に住むというのは、多分、日本人で普通に防災教育を少しでも勉強していたら、その解決策って多分知っていると思うんですね。でも、それをどう実現したらいいかが分からないし、そんな今住んでいるところを移転する、引っ越すって、なかなかそう簡単にはできない。事前防災のやっぱりポイントは、その土地利用をどうするかが私は一つの大きなポイントかなと思っています。
 それと、やはり田舎行くと、高齢者、おじいちゃん、おばあちゃん、独り暮らししていたりとかというのがあります。やはり、そういうところに福祉の方とかが、もしですよ、家庭に訪問しているんであれば、そこで防災のことも一緒に点検をしてあげる。あの家具危ないねとか、何かあったときにここに連絡するんだよとかということを、少し防災のことを一緒に考えてあげるような、福祉とセットにしてあげるというのも日常的には大事かなと思います。
 そしてあと、良き心、良心にということで考えると、SDGsとか地球環境の問題というのは、私は環境に配慮してCO2削減で地球に貢献したい、そのためにごみの分別するとか、ペットボトル集めるとか、SDGsのバッジ付けるとかというのって、具体的にどんな自分の行動が効果があるか分からないんですよね。ただ、それって、私って地球に何か貢献しているんだという、あの地球の絵に自分の行動がリンクしているから行動に移せる。
 でも、防災って別に、引っ越しました、耐震補強しました、備蓄しました、何とかしましたといっても、何に貢献しているのか分からない。あくまでも自分、自己的な満足で落とし込まれると思うんです。それを利他的にとか、社会にとか、地球にというところに結び付けてあげる何かSDGsのような仕掛けがあると、私が何か少し防災のことしたら地球に貢献しているんだという、そういう何か良き心、良心に訴えるようなことも防災庁が少し、具体的な制度的な介入ではないですけれども、そういう文化をつくるというのもあるかなとは思っています。
○参考人(大西勝也君) 行動変容についての御質問がございました。
 今まさに内閣府の方でこの行動変容、国民の主体性醸成あるいは行動変容をどう起こすのかという勉強会がございまして、そこに参加をさせていただいておりますが、結論から言いますと、大変難しい問題です。少し例を出させていただきますと、例えば、発生頻度の高い土砂災害であったり、逃げていれば助かったのに避難行動を取れていなかったばっかりに残念ながら命を落とされたというケースが度々報道でもございますように、避難行動をどう促すのかというのは大きなテーマです。
 ただ、冷静に考えてみますと、例えば、自分はもう五十年以上、人生生きてきていまして、恐らく何千回という雨を経験してきていますが、そのうちただの一度も命の危険を感じたこともなければけがをしたことも、もっと極論を言いますと命を失ったこともないと。なので、雨の恐怖に対するリアリティーというのがどこまで持てるのか。つまり、そういうことを考えると、逃げなかったその主体に対して否定をする、つまり逃げなかったあなたが悪いということで一くくりにして結論付けをするのは少し僕は乱暴だと思っています。逃げないには逃げないなりの様々な理由があるわけで、これ多分に心理学とか行動学の分野だと思われますが、そういった逃げない理由を一個一個潰していく作業も片方では必要かと思います。
 例えば、津波の避難行動のときに大きな問題になるケースが二つございます。
 一つは、逃げるのかという問題ですね。よく言われる正常性のバイアスが掛かっていて、なかなか避難行動を開始するという決断が迅速にできない。そういったものが、通常、自分たちの精神作用として働いているわけで、それを振り切って逃げるということに、この避難という行動のいかに難しさがあるのかということがまず一点。
 それからもう一つは、逃げられるのかです。例えば、夕食後、家族で夕食を取った後に、お父さんはソファーでテレビを見ながら、お母さんは家事をしながら、これ、今の時代だとこういう区別ちょっとまずいかも分かりませんが、お子さんはお子さんで子供部屋に帰られた。どおんと地震が来て、家、ぐしゃっとなって、さあ十分後に津波が来るから逃げなあかんというのを家族全員が分かっていても、お父さん、お母さんは子供の姿が見えないだけで絶対に避難行動を開始することはできません。
 なので、そういったケースをしっかりと想定した上で、どうそれを事前に排除できるのか。そうなりますと、これ、命と向き合うということになります。この命と向き合うという作業が、防災の枠組みを飛び越えた命と向き合うという枠組みこそが、僕は行動変容を起こす一つの大きなきっかけになると思っています。
 ただし、これは全体的に整理ができているわけではございませんで、なかなか難しい問題だと思っています。お答えになったかどうか分かりませんが。
○参考人(栗田暢之君) 私は、今、黒潮町長言われたように、命というところがベースになるというふうに思っていて、それは皆さん同じだと思うんですけれども。
 でも、その命を守るフェーズって二つあると思っていまして、一つは、事前防災によって防げる命。いわゆる阪神大震災とか今回の能登半島地震でも、多くの方が古い木造家屋の倒壊であったり、室内の安全対策であったり、東日本大震災、これから訪れる南海トラフもそうですが、溺死が九割超えた。こういうことで、事前に耐震化を図っていくとか事前にやっぱり避難訓練を徹底して早期避難をしないともう難しいというようなことが過去の災害の事例。ところが、そのもう一方の命というのは、熊本地震でも能登半島地震でも、その助かった命が後々避難生活によって耐えられなくなった方々が亡くなるという災害関連死の問題の二つがあると。
 この二つをどう守るかということがやっぱりもっともっと国民に理解されて、そのために何が必要かということをしっかりと伝えていかなきゃいけないということが防災庁の役割として大きいと思っています。
 もう一方で、その現場を私たちは見ているわけですから。で、そのボランティアも一災害に何千人、何万人と行っているはずなんです。その現場を見た者が、地元でそういった話をしっかりする。ただ、それは、僕たちこんなことで頑張ってきたよということだけではなくて、やっぱり先生方と協力しながら、それが、ちょっとエビデンスもきちっと取りながら、自分が見たことがそれが全部正解じゃありませんから、じゃあどうすればよかったのか、自分たちの地域で何をすればいいのかということの議論を沸き起こしていくような、そういう仕掛けづくりというのが今後必要なんじゃないかと。
 だから、災害ボランティアというのは災害が起こった後の話だみたいなことを言われますけれども、いやいや、起こる前にも、貴重なやっぱり現場を見ている人材として、そこの活用みたいなところを是非防災庁と一緒に考えていきたいということを思っています。
○佐々木雅文君 ありがとうございます。皆様方より大変示唆に富むお話を頂戴し、ありがとうございます。
 重ねて、この防災庁は、発災時の対応から復旧復興まで一貫した災害対応の司令塔となるということも目的にしているところであります。
 大西参考人にお伺いをできればと思うんですけれども、今の災害対策基本法ですと、基本的な復旧復興は、先ほどもお話にあった基礎自治体の皆様が担われるわけですけれども、他方で、防災庁としてもこの減災・防災、また復旧復興というところまでしっかり伴走する体制もつくっていかなければならないのではないかというふうに思うんですが、そういう観点でこの防災庁に求めるものというものがあれば御教示いただければと思います。
○参考人(大西勝也君) 主にその事後対応のことについてのお尋ねであったかと思いますが。
 まず、被災地、主に東北ですけれども、東北の被災地の首長さんに十数年前に何人もお会いして、いろいろお伺いさせていただきますと、やはり事後対応、特に復旧とか復興フェーズになりますと、全て法律事項でございますから、ふだん自分たちが触れることのないような法律、あるいはふだん触れるような法律でもその特例運用ですね、こういったものの解釈がどこまでできるかというのは、残念ながら、大都市ではあるかもしれませんが、私たちのような一万人程度の町ではそういったナレッジ、知識の蓄積というのはございません。したがいまして、そういう解釈ができる人材がそばにいていただくことというのは大変重要でございまして、これは漏れなくもう被災地の首長の皆さん全てが言われます。
 それからもう一つ、事前にやはりそういうトレーニングをやっぱりしておく必要があります。自分たちの力量不足をここで公表するようなもので大変恥ずかしいですけれども、そのトレーニングをする必要がございます。そのトレーニングを講じていただける主体として防災庁にリーダーシップを発揮いただきたい、専門家集団としてきちっと基礎自治体のトレーニングにも携わっていただきたい、これも当然言われていることでございますので、しっかりと進めていただけると思っています。
 それから、質問中御指摘がございました、災害対策基本法の中では、やはり自治体のその責務といいますか、僕は少しちょっと過剰じゃないかなというのが印象でございます。黒潮町に住んでいる方々は、当然のことながら黒潮町民ですが、同様に高知県民であって、日本国民でございます。どこが主体性を持つのかというのは役割分担の話であって、責任論であるべきではないと僕は思っています。したがいまして、平時のコミュニケーションでどう防災力を向上していくのか、そのコーディネート役を防災庁にしっかりと担っていただきたいというのが意見でございます。
○佐々木雅文君 ありがとうございます。
 最後に、沼田参考人にお伺いをできればと思います。
 先ほど、提案の九のところにも、デザインというところのお話をいただきました。冒頭の御発言のところでも、自分の行動がどういうふうに結び付いているのかが、結び付いていくことが大切であるというお話もいただきましたけれども、このデザイン、防災のデザインという部分も含めて、分かりやすく皆さんに知っていただくことということが、視認性もそうですし、それがどういう行動に結び付いているのかということが分かるということがどういうふうに、済みません、ちょっと抽象的な御質問になってあれなんですけれども、国民の認識に伝わっていくようになるのかという観点で御教示をいただければと思います。
○参考人(沼田宗純君) 御質問ありがとうございます。
 そのデザインというので、まずは僕は、子供のことを考えると、格好いいとか、防災庁の職員になりたいなとか、うちの大学生の学生も防災庁入りたいとかという人もいるんです、先生どうにかならないのとかと言われて、でもまあ、この前、説明会あるよとかというので。やっぱり、そういう憧れで防災庁に入りたいとかという子供が増えてくれたらいいなと思います。
 一方で、地域の人も、防災庁の職員が来たと、そうすると、何か防災を、何か彼ら頑張っているし、私たちもやろうというふうに、何か見た目で引っ張るというその格好よさというのがあるかなと思います。そのときに、格好いい服着ているとか、そういうのももちろん大事だと思っています、いろんなロゴとかいろんなデザイン的なところですね。そういうもの、いろんなものを統一化する、かつ、地方自治体の、基礎自治体の職員にも同じようなデザインで格好いい服着てもらうとか、そういうことで自治体の職員のいろんなモチベーションとか防災に関わるという姿勢も防災庁が変えてもらえるといいかなと思います。
 あと、防災の看板ってもういっぱいあるんですね、外行くと。避難所の看板があったり、津波ここまで来たとか、いろんなものが、石碑があったり、いろんなものがあります。なので、そういった日本にあるいろんな看板とか物理的な資産も含めて、そういったいろんなことで分かりやすくデザインをするということが今後大事かなと思います。
 個人的にそういうバッジを付けるとか、それ私も貢献している、SDGsのカラフルなあのバッジを付けるだけで何かに貢献しているんだという、そういう利他的なところをしっかりとみんなに持ってもらうというのも僕も大事かなと思うので、SDGsのバッジに代わるような何か防災バッジを作るという話ではないんですけれども、でも、そういう文化をつくってみんなが関わるという、そういう、何というんでしょうね、カルチャーをつくるというのも大事かなと思います。
 済みません、何か回答が。
○佐々木雅文君 ありがとうございました。以上で終わります。