REPORT
活動報告
第221回国会 参議院 総務委員会 第7号 令和8年4月23日
○佐々木雅文君 公明党の佐々木雅文でございます。本日もよろしくお願いを申し上げます。
先ほど、出川先生、木戸口先生からもお話がありましたが、昨日は岩手県の大槌町で山林火災が発生をいたしました。被災をされた方々、また避難をされていらっしゃる方々に、まずもって心よりのお見舞いを申し上げる次第であります。
私も、東北を活動の拠点としております一人といたしまして大変心配をしているところでもあります。地元の公明党といたしましても、地元の県会議員また周辺の地方議員の皆さんとともにしっかりと対応を図ってまいりたいと思っております。現状も延焼をしている状況があり、また避難をされていらっしゃる方々も多くいらっしゃるということでございますので、早期の鎮静化に向けまして、是非、総務省また消防庁の皆様にも御尽力を賜りたいとお願いを申し上げる次第であります。
その上で、今回の株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構法の件でお尋ねをさせていただきたいと思っております。
このJICT法につきまして、平成二十七年の当時、成立に向けて議論がされていた際のことでありますけれども、当時の背景の一つといたしましては、日本の経済成長のために、アジアなど海外で拡大が見込まれるこの通信・放送・郵便サービスの需要を積極的に取り込んでいく必要があることであったり、また、各事業が規制分野であることから、政治リスク、需要リスクを踏まえたサポートが有効であると、こういった説明がされていたところであります。
その上で、今般のJICT法の法改正の背景におきましては、これらに加えて、グローバルな環境変化に応じた経済安全保障の観点からもデジタルインフラの海外展開の重要性ということが示されています。
法律の成立当初からどのように世界情勢や社会環境が変化しているかということについての御認識と、その中で今後の海外通信・放送・郵便事業支援機構がどのように展開していくことが求められるか、大臣の所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(林芳正君) 近年、デジタル化やAIの進展が加速する中で、この情報通信、これはあらゆる経済社会活動を支える基盤としてその重要性が一層高まっておりまして、必ずしも法律成立当初には想定していなかった、今委員からございました経済安全保障の観点からも極めて重要な分野となっております。
この情報通信分野に例を取りますと、外国ベンダーとの競争の激化、また国内通信事業者の設備投資の減少などを背景に、日本ベンダーの国際競争力が低下をし、国内においても外国ベンダーへの依存度が上昇しているということで、経済安全保障上の懸念が高まっているところでございます。
こうした認識の下で、総務省において情報通信成長戦略官民協議会、これを開催させていただきまして、経済安全保障などの観点から官民投資を重点的に支援するということが必要と考えられる主要な製品、技術としてこの三つを位置付けておりまして、オール光ネットワーク、海底ケーブル、次世代ワイヤレスということでございます。これらの三つのものについて、今後の官民投資ロードマップについて検討を進めておるところでございます。
JICTには、今後取りまとめるこの官民投資ロードマップの実行に当たって、我が国の企業の戦略的投資の呼び水として、情報通信分野の海外市場の開拓において一層重要な役割を果たしていくことを期待しておるところでございます。
○佐々木雅文君 本当に、この経済安全保障という観点からも、ある意味では立法事実が付け加わるような形で、より戦略的な対応ということが必要になっていく部分だと思いますので、是非そうした部分での展開もお願いをしたいと思っております。
その上で、今後のこのJICT、海外通信・放送・郵便事業支援機構が一層機動性であったり迅速性を確保していくという上でも、運営面におきましてもより効果的な体制づくりをすることが求められていくというふうに思います。
この点、現状、いわゆる官民ファンドと呼ばれる組織、ほかにも多く存在をしております。先ほども御案内ありましたとおり、代表的なところでは海外需要開拓支援機構、クールジャパン機構とか、海外交通・都市開発事業支援機構、JOINなどがあるところであります。そうした意味で、そうした組織体制や運用という面におきまして、他の官民ファンドにおけるノウハウであったりとか知見を生かすことができる場面も多くあるのではないかと思います。
そこで、この海外通信・放送・郵便事業支援機構において、そうしたノウハウ等についてどのように運営に、運営面で生かして、組織の運営面で生かすことができているのか、御見解を伺いたいと思います。
○政府参考人(布施田英生君) お答えいたします。
官民ファンドの活用推進を図るとの観点から、官民ファンドの運営状況の検証を政府一体となり関係行政機関が連携して行うために、内閣官房長官の下で官民ファンドの活用推進に関する関係閣僚会議が開催されてございます。この会議で報告されました他の官民ファンドの取組は、総務省及びJICTにおきましても経営改善の参考とさせていただいてございます。
例えば、JICTでは、話題になりました地政学分野の顧問を招聘いたしましてリスク管理の体制を強化するということもございましたし、総務省で昨年十月から開催いたしました有識者検討会におきましては、JOINで改善することとされましたリスク管理、情報開示、組織体制、これらの観点を含めまして、更なるガバナンス強化の対策をしていくことというようなこともその有識者検討会の中では提言として取りまとめられたところでございます。
総務省としましては、JICTが他の官民ファンドとの間で効果的な連携、また知見の共有などを進めましてJICTの運営に生かしていくことができるよう、その取組を後押ししてまいります。
○佐々木雅文君 今お話ありましたとおり、多くの官民ファンドある中で、より効果的で有効的な運用をしていくことによって、この組織の発展性という部分でも是非意識付けをしていただければなと思いますので、是非よろしくお願いをしたいと思います。
この海外通信・放送・郵便事業支援機構は民業を補完するものであるということが前提になっているわけですけれども、反面、挑戦的な領域に対しましてもこの民間事業者の海外展開を支援するというものであって、その意義は大きなものがあるというふうに思います。
他方で、民間事業者におかれても、デジタルインフラ事業等を継続していく中で収益性を高めていく必要があるところでもあります。そうした中で、このリスクテークをしてチャレンジをしていくということは大変重要なことでありますが、そもそも需要に見合わないような状況が発生しているのであれば継続の余地もないというふうな事態にも陥りかねません。
そうした意味で、今後の市場動向について具体的にどのように認識をされていらっしゃるのか、その点の御見解も伺いたいと思います。
○政府参考人(布施田英生君) お答えいたします。
JICTの支援対象でございます情報通信分野では、国際競争が激化し、グローバル市場における日本企業の売上げシェアの低下、デジタル赤字の拡大など、我が国の置かれている状況は厳しくなっていると認識してございます。
世界の情報通信市場は、二〇一二年には支出額ベースで二百九十一・一兆円であったものが、二〇二四年には七百二・一兆円まで拡大するなど、引き続き成長傾向でございます。
今後の市場動向の見通しといたしましては、例えば、世界のデータセンターの市場規模は、二〇二〇年には約八・八兆円だったものが、二〇三〇年には約四十九・四兆円までと拡大することが予測されているところでございます。
一方、近年、経済安全保障の観点からデジタルインフラの重要性が一段と高まる中で、我が国企業が海外において戦略的な投資を行う際の呼び水となり、我が国経済の持続的な成長に資するというJICTの支援が、その取組を通じまして経済安全保障の更なる確保にも貢献していくことを期待しているところでございます。
○佐々木雅文君 また、少しちょっと観点が変わりますけれども、そうした市場動向を踏まえて展開を今後見据えられるところの中で、この支援対象となる事業の性質上やむを得ない部分もあるかと思いますが、支援を今受けている事業者というのはいわゆる大手の企業が中心になっているところでもあります。この数年間でポートフォリオにも変化が出てきているということは承知をしているところですが、それでも依然として大手企業が多く占めているという状況が生じているところでもあります。
支援基準を充足していくという部分で難しい面はあるかもしれませんけれども、海外展開を支援していくという観点からも、例えば中小の企業であったりとか地方在の企業であったり、そうした事業者の皆さんに対しても今後対象になり得る部分があるのではないかというふうに考えられます。
そうした面で、この大手企業以外の事業者に対する支援や取組につきまして現在検討をされていることがあるかどうか、大臣の所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(林芳正君) 言うまでもなく、中小企業は雇用の七割、付加価値の五割を占める日本経済の屋台骨でございまして、地域経済を牽引する中堅企業、成長志向の中小企業、地域経済を支える小規模事業者などの稼ぐ力、これを抜本的に強化するということが必要でございます。JICTに対しても、情報通信分野における中小企業の海外展開への支援、これが期待されるところでございます。実際に、沖縄県の中小企業、これを支援する実例も出てきておるところでございます。
総務省において、去年の十月から十二月まで有識者検討会を開催いたしましたが、ガバナンスが確保された事業者との共同出資、これを前提といたしまして、地方の企業ですとかスタートアップ企業ですとか中小企業、これを一層支援すべきだとされたところでございます。
一般的で、企業によって差はあると思いますけれども、中小企業は海外事業に関する情報ですとかノウハウが不足していることが多いので、それが海外展開に至らない一因となっていると、こういうことが指摘されておりますので、JICTが蓄積した海外展開に必要な知見、またネットワーク、これを中小企業などに還元するというのは有効だと考えております。
総務省では、海外市場調査ですとか実証実験などを通じて中小企業向けの海外展開支援に取り組んでおりまして、JICTには、こうした取組と連携を図りながら、地方企業、中小企業の海外展開支援に取り組んでいくように促してまいりたいと考えております。
○佐々木雅文君 ありがとうございます。
今お話しいただきましたとおり、是非、中小や地方の企業の皆さんにも効果が波及していくように、これまでの知見等の展開をしていただきますように重ねてお願いをしたいと思います。
先ほど来、私もこのJICTとか余り略さずに海外通信・放送・郵便事業支援機構と正式名称で申し上げているのは実は意味がありまして、現状、海底ケーブルやデータセンターなどの通信関係の事業が中心になっている部分があるかと思います。そして、放送や郵便事業の分野について、現状どのようになっているのかについて、また、今後どのような展開を検討されているのかという部分につきまして、現状の御見解を伺いたいと思います。
○政府参考人(布施田英生君) お答えいたします。
JICTによる支援しています案件の投資分野別の内訳でございますが、二〇二五年度末時点で、通信分野が二十七件のほか、放送分野が一件、郵便分野がゼロ件となっているところでございます。
この要因といたしましては、放送・郵便分野は、このデータセンターを始めとする通信分野と比べまして、その市場のプレーヤーが少なく、またプロジェクトの組成機会も少なかったことが考えられるところでございます。
JICTにおきましては、案件形成に向けて放送、郵便関係企業と議論を重ねていると伺ってございまして、今後、これまで培ってきました組織的、人的ネットワークなども生かしまして、放送・郵便分野における取組を進めていくことを期待しているところでございます。
総務省といたしましては、在外公館と連携しながら、各国のニーズについても情報収集していきまして、JICTによる放送・郵便分野の案件形成を後押ししてまいりたいと考えているところでございます。
○佐々木雅文君 ありがとうございます。
ある意味で、この成長戦略とともに安全保障という観点からも、この日本の仕組み等を海外にも普及させていくという部分は意味があるところだと思いますので、こうした放送や郵便事業という国の仕組みに関するような部分でも、各国にそうした支援ができるような部分はこれからも是非取り組んでいっていただきたいなというふうに思います。
次の質問に行きますが、昨年、数度にわたりましてこのJICTの在り方に関する検討会が行われておりまして、この対象となっている事業者の皆様からもこれまでの状況についてヒアリングをされているところであるかと思います。
その中で、議事録、議事要旨等を拝見しますと、このJICTが関与することによって対外的な信頼を得られること、また中長期的な視点でビジネス展開をすることなどの有用性が示されておりまして、JICTの存在意義を確認できるものだというふうに受け止めております。他方で、この議事要旨という性質があるのかもしれませんけれども、そこに記載されている内容は、基本的にはほぼポジティブな発言が多く残っているように見受けられます。
今後に生かしていく上でも、改善点を含め、反省材料であったりとか不安要素、要検討事項などの声はなかったのかどうか、もしあったとするのであれば、どのように今御検討されているのか、その点の御見解を伺いたいと思います。
○政府参考人(布施田英生君) お答えいたします。
昨年、総務省において開催しましたJICTの在り方に関する検討会では、JICTが海外展開を支援している事業者六者からヒアリングを行いました。
ヒアリングでは、JICTの海外事業、ICT事業、金融等に係る専門性、また意思決定の早さというところを評価する声があった一方で、改善点といたしましては、JICTによる支援決定までのリードタイムの、もっと短くしていく、短縮していくべきですとか、柔軟な資金供給スキームを希望する、このような御意見もいただきました。また、外部有識者の方々からは、JICTの投資の実績、成果が見えにくい、JICTが投資する政策的意義を明確にすべきといった改善点も御指摘いただいたところでございます。
総務省といたしましては、これらの指摘事項へのまずJICTの対応状況を注視し、また外部有識者の御知見もお借りしながら、適切にJICTの経営状況を監督してまいりたいと考えているところでございます。
○佐々木雅文君 より一層有効な経営改善に努めていただきますように、今お話ありましたような御意見も含めて御対応いただきたいというふうに思います。
冒頭にも申し上げましたこの平成二十七年の議論の背景、議論がされていた背景としては、この海外需要を取り込んでいくことであったりとか、また規制分野に対する対応ということが示されて説明をされていますが、それに加えまして、地デジ、当時の地デジの日本方式の海外展開で培った人脈等を生かして、このICT分野全体の市場拡大につなげることも可能であるということも背景の一つとして説明をされております。
そうした部分もあったからかと思いますが、当時の附帯決議には、「機構が支援する対象となる事業者への投資、融資等の金融機能が機構の主要な事業となることに鑑み、専門知識を有する民間の人材の確保及びその積極的な活用等が図られるよう努めるとともに、相手国との人的ネットワークの構築に積極的に取り組むこと。」ということが盛り込まれております。
こうした人的ネットワークの構築という部分も含めまして、その後の検証等を含め、進捗状況等確認されていること等ありましたら、その点の御見解を伺います。
○政府参考人(布施田英生君) お答えいたします。
JICT法制定時の附帯決議を踏まえまして、JICTでは、その現地の大使館とも連携しつつ、相手国との人的ネットワークの構築に取り組んでございます。具体的には、主に現地の大使館や相手国の在京大使館を結節点といたしまして各国との連絡経路を確保いたしまして、現在二十一の国、国際機関との間で人的ネットワークを構築しているところでございます。
この人的ネットワークを活用いたしまして、例えばですが、案件につきまして地政学リスクの分析などを支援するという事例もございますし、案件によっては、相手国のところでのイベントなどにこのような培った人的ネットワークの方々にお越しいただく、協力していただくというような事例も出てきているところでございます。
総務省としては、引き続き、このようなJICTによる人的ネットワークの構築の取組をしっかりと後押ししてまいります。
○佐々木雅文君 ありがとうございます。
このJICTの機構があるということは、今後の日本の国際戦略の一環としてもより大きな役割を果たしていく部分があるかと思いますので、今後、総務省の皆様としましても、そうした位置付けの中でより組織が発展できるように、是非お力を尽くしていただければというふうに思います。
以上で質問を終わります。